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「ほら、今度はドラゴも謝るんだ…噛み付いてご免なさいってな」
短い付き合いながらも俺はドラゴが馬鹿ではない事を分かっている。
被害者の方から謝罪をしてきたのだ、加害者であるコイツが何もしない事はないはずだ。
「…悪かった…噛み付いたりして…」
ブツブツと小さい声だったがしっかりと謝罪の言葉を口にした。
「よし!!これでお互い後腐れなしだ!!」
俺は両手を広げてスーとドラゴの頭を撫でた。
スーは満更でも無い顔をしていたがドラゴはと言うと…
「止めろ!!ガキ扱いするな!!」
不機嫌そうに俺の手を跳ね除け、この場から去っていった。
取り敢えずはこれでいい…ここでの暮らしがいつまで続くか分からないが、こんな狭い空間で尚且つ少ない住人同士でギスギスしたくないもんな。
しかし、この時の出来事が小さな火種となり燻り、やがて大きな炎へと変わっていくのをこの時点の俺は予想すらしていなかったのだ…。
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