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愕然としてまともな言葉を発することが出来なかった。私の回りに散らばっているのは、強力な武器で虐殺されたかと思われる、私を襲った男達の死体……いや、破片と言ったほうがいいのだろうか……人間としての原型を留めていないのだから……
そう、私の回りにある物……それは、木端微塵に吹き飛ばされたかのような人間の破片だった。
相当強力な武器を用いてもこうはならないだろう。辺り一面は血で、真紅に染まっている。そして、人間の皮膚、肉片、そして、微塵切りにされかのような内蔵の破片らしき物が散らかっているような状況……おぞましい光景としか言いようがない。
そして、立ち込めてくるは、蛋白質が腐りかけた時に放つ異臭……。
照りつける太陽の熱い光のせいで腐蝕が速いのだろうか?
それにしても、一体誰が?
まさか!
「ねえ、これをやったのは勇真?勇真なの」
私は、ぼっとしている勇真を揺すりながら、尋ねた。しかし、勇真はぼっとしているだけで、虚ろな視線で空を眺めているだけだった。けど、間違いない!私は確信した。勇真だ!勇真しかいない。これだけのことを一瞬のうちに行うことが出来るのは……
私の背筋が異常な程に震えた。
勇真の力に……。
何てことだ、勇真の力は、感情が爆発することにより巨大となるのだ。
怖い……。
私は生まれて初めて勇真に恐怖を感じた。しかし、恐怖に押し潰されている暇はない。とりあえず、私はこの場を離れることにした。
勇真と一緒に……。
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