家族だって譲れない(ボリス)

14/14
前へ
/119ページ
次へ
 オルトンが頷き、父が立ち上がる。見れば時間はけっこう過ぎていて昼時になっていた。  おいとまする事にしたけれど、結局母はあの後一度も顔を見せてはくれなかった。それほどショックだったのだろう。  けれど父と兄は「時間が経てば落ち着く」と言ってくれた。 「あれで、良かったのかな?」  少し元気のないフェオドールが問いかけてくる。それには何とも言えないけれど、今やれる事をやり尽くした事だけは確かだ。 「後は時間をかけてじゃないかな。なんせ、二〇年近く騙してきたんだし」  ゆっくりと、時間をかけて説得してみよう。ボリスはそう心に誓うのだった。
/119ページ

最初のコメントを投稿しよう!

354人が本棚に入れています
本棚に追加