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オルトンが頷き、父が立ち上がる。見れば時間はけっこう過ぎていて昼時になっていた。
おいとまする事にしたけれど、結局母はあの後一度も顔を見せてはくれなかった。それほどショックだったのだろう。
けれど父と兄は「時間が経てば落ち着く」と言ってくれた。
「あれで、良かったのかな?」
少し元気のないフェオドールが問いかけてくる。それには何とも言えないけれど、今やれる事をやり尽くした事だけは確かだ。
「後は時間をかけてじゃないかな。なんせ、二〇年近く騙してきたんだし」
ゆっくりと、時間をかけて説得してみよう。ボリスはそう心に誓うのだった。
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