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平然とエリオットがそんな事を言う。この人も見た目に似合わず元騎兵府だ、苦しい訓練を知っている。そんな人が言うのだから、平気なのかもしれないが。
「私は一応医者です。休息の大切さを説くべきなのにこんな……情けなくて」
でも、どうしても求めてしまうのだ。側にいるとどうしても触れたくなり、そのうちにキスをしたくなり、してしまうともっと求めてしまって。
チェスターもそれを察してくれて、逆にリカルドの体を気遣いながら触れてくれる。嬉しいし、溺れてしまうけれど事後に「これでいいのか?」と自己嫌悪してしまうのだ。
「いつからこんなになってしまったのか。元は一人で十分だったのに」
今では孤独だった頃の自分を思い出せない。どんな風に日常を過ごしていたのか。自分で作った食事の味とか、分からないくらいなのだ。
エリオットは目を細めて柔らかく笑う。そして、リカルドの頭を撫でた。
「いい事ですよ、それで。孤独なんて好んで選ぶものではありません。長く離れていたのですから、反動で側にいたいと思っても不思議はありませんよ」
「エリオット先生はそう思いますか?」
「そうですね……。私よりも、オスカルがそんな感じですから。でも、側にいたいと素直にいわれるのは嬉しく思いますよ」
そういうものなのか。確かにチェスターも嫌な顔をしたりはしない。嬉しそうに笑っている。
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