家族だって譲れない(ボリス)

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「関係はあるけれど、俺の家のゴタゴタだよ。それに俺は自分の考えを譲るつもりない。もし強制的に除隊させようってなら、一緒にクシュナート行くよ」  本当にそのつもりだった。  けれどフェオドールの方が意地になっているみたいで、睨み付けるようにボリスを見るのだ。 「勝手をするな。ボリス、逃げるな」 「逃げてないよ」 「ちゃんと話し合う気はあるのか」 「あるよ」  視線を合わせられないのは多少後ろめたいから。話し合う気はあまりない。きっと平行線を辿るし、一般的な常識を持つ善良な母にはきっと理解できないと思うから。  けれどフェオドールの方は側に来て、ギュッと手を握るのだ。 「私からも話をしたい。ここまで追いかけてきたんだ、ちゃんと向き合っていきたい。自分の事も、ボリスの事も」 「なにそれ、ちょっとカッコいい事言って」 「お前、相変わらず失礼だな。私だって一人になって考えたんだ。自分が何をしたいのか、どう進みたいのか。お前の隣りにいて恥のない人間になりたいと思っているんだぞ」  嫌な顔をするフェオドールのほうが、今はとてもカッコいい。  ボリスは苦笑して、次に溜息をついた。 「二〇年以上の嘘の上塗り、今更どうしようかな」 「正直な事を話せばいい。私も側にいる」 「んっ、有り難う。最悪手と手を取り合って逃避行していい?」 「構わない」 「わーぉ、刺激的」     
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