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でもこんな事経験がないリカルドにとっては、これが表面上の事なのか心からの事なのか、いまいち自信がない。
ましてや忌まわしい力を持って生まれてしまい、一度は世を捨てようとしたリカルドだ。自分にそんな価値があるのかわからない。
「リカルド先生も、そんなに難しく悩まずに今は思うようにしてもいいと思いますよ。もしくは、ちゃんと話をしてみる事だと思います」
「……そう、ですよね」
結局は話すべきなのだろう。けれど自分の感情が上手く整理できないせいで何を話せばいいのか、それも分からない状態なのだ。
その夜、部屋の中でリカルドはやっぱり溜息をついていた。エリオットのアドバイスで話そうと決めたのだが、何を話せばいいのだろうか。
「頻繁に求めるのは、嫌じゃないか?」
こんなの、嫌だと言う訳がない。例え少し思っていたとしても、チェスターは言わないだろう。
「少し距離を置こうと思う」
は、別れ話に聞こえて言いたくない。別れたくはないのだ。
「頼りなくはないか?」
間違いなく「そんなことない」と返ってくる。
「はぁ……どうしよう」
一人でいれば悩みなんてなかった。自分の生き方を自分で決めるのだから。
でも、相手がいるとそうじゃない。チェスターはどう思うのか、自分はどう思われているのか。それを考えてしまう。
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