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今の仲間、今の場所、そしてフェオドールと一緒にいる事を望んだ。それを守る為に、今ここにいるんだ。
母の視線がフェオドールへと向けられる。その目はどこか非難めいていて、向けられるフェオドールも思わず俯いてしまう。
「そこの彼がいるから?」
「違う、もっと根本的に俺はこの家の家族じゃないんだ」
「どういう意味?」
母が戸惑った顔をする。当然だろう、この人が生んでくれたのだから。
でもボリスはずっと思っていた。思っても口にできなかった。これを口にしたら、家族とは決定的に離れてしまう気がしたから。
けれど今は違う。もう、嘘をつかなくていい。そういう場所を見つけたんだ。
「母さんは知らないでしょ、俺が誰かの血を見ることが好きな事。泣き顔が好きな事。奪い取るように征服する事に快楽を感じたり、自分好みに調教する事が好きな事」
言えば、両親はとても驚いた顔をして戸惑いの声を上げた。
けれどオルトンはどこか分かっていたような様子で、僅かに俯くだけだった。
「苛められてる兄貴を助けるフリをして、喧嘩を楽しんでた。血を見ると興奮した。これは兄貴を助けているんだと自分に言い聞かせて、本当は自分の欲望を満たしていたんだ」
「どうして……」
「そんなの自分でも分からないよ」
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