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「もう別れたよ。今は誰ともお付き合いはしていない」
「そっか、良かった。兄貴はさ、肉体的に強い女性じゃなくて精神的に強い女性を探した方がいいと思う。一本筋が通っているような、支えてくれる人」
色んな女性を見てきて思ったのだ。カールの妃であるデイジーも今は強く凛としている。ほんの少しだけ知っているマーロウの奥方のチュウェンも、ダンの奥方のイシュクイナも精神的に強い女性だ。
こんな人が兄の側にいれば安心していられるのにと、思っていたのだ。
「社交界に出てさ、探してごらんよ」
「ダメだよ、俺なんて。家もそれほど大きくないし、何より見劣りするしさ」
眼鏡の優男系である兄は自分が非モテだと思っている。だが優しげでふんわりとした雰囲気は癒やし系でもあるし、こういう人を好む女性もいるんじゃないかと思うのだ。
「大丈夫、きっと兄貴を気に入る女性だっているって。今フリーなら尚のこと、探しに行ってごらんよ」
「そうだな、それもいいと思うぞオルトン」
父も頷き、恥ずかしげな兄はそれでも控えめに頷いた。
「母さんと家の事は、俺が引き受けるから。ボリスも、たまに顔を見せにきてくれ。勿論、フェオドールさんも」
「んっ、任せたからね」
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