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そうか、幸せにしないといけないのか。ボリスが幸せなら、自分もきっと幸せだからな。
そんな事を思いながら、フェオドールはボリスの腕の中で笑った。
「うん、いい顔。深刻な顔されるより、そっちのが似合うよ」
珍しく甘やかすような笑みを見せたボリスが、そっと額にキスをする。くすぐったくて温かい、そんなムズムズする包容がとても心地よく感じた。
夜はフェオドールが作った。ちょっと失敗もしたけれど、ボリスは文句も言わずに食べてくれた。それどころか「料理覚えたんだ」なんて驚いていた。
お風呂はボリスがやってくれて、フェオドールが先にお湯を貰った。入念に洗って寝室に行くと、既に明かりは薄暗くなっている。
「おいで、フェオドール」
「いいの?」
「いいよ。それに、落ち着いたら甘えさせてあげるって言ったじゃん」
「うん」
おずおずとベッドに行くと腕を引かれて抱きとめられる。まだ少し濡れている髪に鼻先が押し当てられて、ちょっと恥ずかしいけれどドキドキしている。
「いい匂い」
「普通の石鹸だよ」
なんかいつもと雰囲気が違うからドキドキする。こんなに優しく触られるともどかしいけれど、なんとも言えないムズムズ感もある。
「それで? フェオドールはどんな夜を想像してたのかな?」
「……うん、それがボリスだよね」
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