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寂しい夜の過ごし方(リカルド)
安息日前日、リカルドはできるだけ早く部屋に戻った。チェスターに会ってしまうのが怖かったからだ。
いつもより少し多めに酒を飲んで、温かな膝掛けを掛けて本を読むけれど内容は入ってこない。
あれから、チェスターとの時間を極力控えている。長くいるから我慢ができないんだと、自分に言い聞かせる毎日になっている。
部屋には入れないようにして、キスもしないようにして。
でも、そんな日はいつも切なく苦しい気持ちに胸が痛くなって、なかなか寝付けないのだ。
「はぁ……」
ダメだ、こんなんじゃ。年上なんだから、チェスターに負担をかけるような付き合い方をしてはいけない。休息もちゃんと取ってもらわないと。その為には我慢も覚えないといけないんだ。
思って、納得もしているのに苦しいのはどうしてなんだろう。理性ではそれでいいんだと思っているはずなのに。
その時、コンコンと部屋をノックする人があった。
「あ……」
思わず立ち上がり、ドアの前までいってノブに手をかけた。けれどそこで我に返ってノブを離した。
「先生、いるんでしょ? お願い、少し話をさせて」
「っ!」
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