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微睡みの中、目覚めると指先には快感の名残。眠っていたのは半時ほどだろうか。
身じろぐと指先だけではなく四肢の先から体の中心にまで、しびれるような甘い疼きが走る。絢鷹は残留する燻りを昇華するため、自ら一度果てた。
下帯が見当たらず、手のひらで受けたそれを仕方なく着物の裾でぬぐう。
相手の男も見当たらない。きっと持って行ってしまったのだろう。はだけた着物だけを合わせ、部屋を出るためにとりあえずの身なりを整えた。
(大した事なかったな。物足りないくらいだ。……俺、向いてるのかも知れない)
どうせなら、もっと滅茶苦茶になりたかったと絢鷹は下唇を噛む。
さて。行くか。
気怠さの残る身体に構ってなどいられない。このまま眠りたいがまだ日も高い。
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