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美術室へ向かっていると、都が近付いてきた。
「司くん、こっちに来て!」と言い、隣に座らせた。
司は絵を描くのは、大の苦手だった。
優馬からは画伯と呼ばれていて、中々味のある絵を描いていた。ちなみに、真弓にも下手呼ばわりされているくらいヘタクソである。
席に座ると、田村先生がやって来た。
日直が挨拶をし席に座ると、咳払いをして授業を開始した。
卒業制作として、お皿か湯呑かコップを作るという話をした。
司は物作りも不器用で、真弓と粘土で遊んでいるとこれまた下手と言われるほどだった。
ちなみに歌も音痴なため、鼻歌で誤魔化していた。
司がうなだれていると、まずはどんなデザインにしたいのをスケッチブックに描くようにと言われた。
頭ではこんな湯呑がいいなぁと思いながら、頭に描いた湯呑を描いていると「司くん、それってぬりかべ?真面目に描かないとダメよ?」と都がコソッと話しかけてきた。
司は凄くショックを受けた。
唯一味方であろう都にもヘタクソだと思われ、司は大きな溜め息をついて「もう嫌だぁあ…」と呟くと、うなだれた。
都がビックリし、司をなだめた。
「ゴッゴメンなさい!もしかして長方形のお皿だったの?」とさらなる追い打ちをしてきた。
司はショックのあまり言葉が出ず、無言でうつ伏せになったまま微動だに動かなかった。
都は司を必死に起こしたがそれでも微動だに動かないまま、美術の授業が終わった。
チャイムが鳴ったと同時に起き上がると、無言でフラフラと立ち去った。
都が司を呼び止めようと声を掛けようとしたとき、田村先生が都を呼び止めて用具室に来るようにと行ってきた。
都は一瞬ビクッとなったが俯いて田村先生の後へついて行き、用具室へと入っていった。
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