生か、死か

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 日が明けて二月十五日になった。今夜は一段と寒い。最近は俺の穴場を誰かに知られてしまったか、空き缶も以前ほど手に入れられなくなった。もう何日食ってないだろう? 食っていないから、ただでさえ回らない頭は首に負担がかかるだけの重い荷物にしか過ぎない。俺は機械的に踵をズルズル引きずりながら今夜もまた一人彷徨い続ける。  少し先に見えたコンビニの灯りに目が留まる。こんな身なりの俺はもちろん入ることなどできない。あそこに入れたら束の間でも温まれるのだろう。深夜二時にもなれば、たとえ入店の音が鳴ろうが店員は出てこない。今夜はやけに寒いし、いっそもう入ってしまおうか。  フラフラとおでんの匂いにつられてコンビニの駐車場にまで来てしまった。やはり客など一人もいない。店員の姿も見えない。もういいか。警察に通報されれば警察に行ける。そのほうが寒くなくていいかもしれない。もうごめんだ。この寒さは耐えられない。
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