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なんにせよ、そのモテ野郎のおかげで俺は今満足している。口の中に残る、歯についたチョコレートを舐めまわす。美味かった。チョコレートの食べ過ぎで今度は塩辛いものが欲しくなる。ぼろ雑巾のような上着のポケットを漁ってみるがもちろん食えそうなものなど入っているわけがない。チョコレートを食べたおかげだろう。俺の頭は冴えてきた。
ああ、そういえばこの先にある神社に塩地蔵があったはずだ。あそこに行けば塩が舐められる。まだ日は上らない。食って元気も出てきたことだし、どうせまだあと何時間かは眠れないのだ。塩地蔵のとこに行ってみるか。
俺はニンマリと起き上がり、数か所に穴が開いた上着のポケットに手を突っ込むと鼻歌まじりに塩地蔵のもとへと向かうことにした。食い散らかしたゴミはそのまま公園に放置して。気のせいか、先ほどより寒さを感じなくなっている気がする。俺の足取りは軽くなっていた。歩いているうちなぜか汗をかき始めた。おいおい。どうした? 俺は走っているわけでもねえのに汗なんてよ。あのチョコレートの中にウィスキーボンボンでも入っていたか? それにしたって随分アルコール度数の高いウィスキーだな。
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