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軽かった足取りはだんだんと重くなった。腹が痛い。なんだか吐き気も催してきた。
み、水。水が欲しい。神社まではもうすぐだ。あそこに行けば水だって飲める。も、もうすぐだ。だから動け。俺の足。
水を求める俺の身体はその場にうずくまることをせず、脂汗をかきながらも神社に向かう。もうチョコレートを食べる前とは比にならないほどに身体が冷たくなっていき、目の前が朦朧としている。神社の門前で一度吐いた。胃の中にはさっき食べたチョコレートしか入っていないのだから吐瀉物も当然茶色であった。夜だったことと意識が朦朧としていたせいで、そこに血が混じっていることなど俺は気づかない。
這いつくばって神社のトイレに向かう。み、水だ。とにかく水をくれ。
だが水を求める俺を阻止するように強烈な痛みと苦しみが体中を駆け巡る。体内にある全てを吐き出してしまいたくなるような吐き気と、首を絞められたかのように空気が吸えない苦しさ。口の中いっぱいに苦みが漂い、自然と目から涙が溢れてくる。
腹が痛い。胃が口から出てきそうだ。
グハッ。
俺はまた吐いた。何がなんだかわからない。筋肉が弛緩して上からも下からも勝手に何もかも出てしまいそうな勢いだ。
人間は耐え難い苦痛を強いられた時、普段何もしていないくせにこれに頼る。
「か、神様、たすけ……っ」
殺虫剤をかけられたゴキブリのごとく俺はトイレの床でのたうち回り、そうしていつしかその苦しみは、果てた。
「な、んだよ……、死ぬって、全然……、楽じゃね、え……っ」
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