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「お待たせしてしまって、申し訳ございません」
「いいさ、行こうか」
助手席のドアをあけると
「あの...いいんですか?」
「もちろん!頭気をつけて」
スムーズにエスコート出来ているか
ドキドキする
「いいかな?出発するよ?」
「あ、はい」
車の中に静寂が広がる
『なにか話さないと』
「眞鍋くん...。」
「はい、社長」
「今日は社長と秘書じゃなく、宇都宮絢人と眞鍋由紀乃として向き合いたいんだ。ダメかな?」
「えと...あの...しゃ...いえ...ダメじゃないです...」
「じゃあ、俺から...」
彼女の方に目線を向けて
「由紀乃...」
「(///ω///)...えと...」
「ゴメン、由紀乃くん。話はまた後で」
10分程車を走らせ
行きつけのBALへ
「いらっしゃい、絢人くん」
「こんばんわ、急にお願いしてすみません」
「いいよ。奥にどうぞ」
「あ、彼女は眞鍋さん。こちらはオーナーの堤さん」
「こんばんわ、眞鍋由紀乃です」
「由紀乃ちゃんか...素敵なお嬢さんだね?」
「そうでしょう」
「...あ、ありがとうございます」
ここは学生時代から通っているBALで、オーナーの堤ご夫妻にはよくしてもらっている
堤さんに女性を紹介するのは初めてだ
「由紀乃くん...どうぞ」
店の奥のテーブルに案内する
「しゃ...ちょう...えと、あの...」
「絢人でいいよ」
「そんな...えと...宇都宮さん?」
「ん...」
「絢人さん...」
「ありがとう。何?」
「今日はありがとうございます」
緊張気味だった由紀乃が
今夜初めて、微笑んでくれた
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