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車が正面玄関に滑り込む
俺が車から降り、社屋に入ると
「おはようございます」
エレベーターホールにいる社員達が、スッと通り道をあける
「おはよう」
エレベーターまで真っ直ぐに歩き、ドアを開かれたエレベーターに乗り込む
「おはようございます。本日は、11時より役員会の予定です。」
「わかった。ありがとう」
エレベーターの中で、秘書の仲村とその日の予定を確認する
毎日変わらないルーティンだ
「ふぅ~」
「社長、お疲れですか?」
「いや」
「本日付けで秘書課に新人が参ります。後ほどご挨拶にあがります。」
「わかった。あ、本田が出てきてたら呼んでくれ。」
「承知いたしました。」
俺、宇都宮絢人は
オヤジから5年前に、この会社を引き継いだ。
傾きかけた会社の業務内容を見直し、立て直す為に腐れ縁の幼馴染の本田海浬をヘッドハンティングした。
本田は想像以上に出来るヤツだったようで、業績も回復し
今では俺が引き継いだ時よりも会社は大きくなった。
だから...今日...
コンコンコン...
「失礼します」
「あぁ、海浬か...入れよ」
「今朝は早いんだな、絢人」
「今日は大事な日だからな」
「そうだな。でも、ほんとにいいのか?古くからの役員を総入れ替えするつもりなんだろ?オヤジさんはいいって?」
「オヤジは俺の好きにしろってさ」
「そうか...まあ頑張れよ」
「は?お前も頑張ってもらわなきゃ困るぜ?」
「俺?」
「そうだ...今日の役員会で、お前の取締役就任が決まる!」
「ええ!なん...なんで俺が?」
海浬は思っていた以上に驚いていた。
「お前がいなかったら、今の俺もいない...これからも俺の右腕でいてほしい。」
「なんだか...お前がそんなしおらしいこと言うなんて...。」
「なんだよ?」
「いや、俺が出来ることはやるよ。」
「あぁ、よろしく頼む。」
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