男と女

2/8
17人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
私のスマートフォンは、 日曜日になるとほぼ鳴らない。 ほかの日には、 『愛してる、会いたい』 なんてさ、言ってるのにね……。 日曜日は私はいないものと同じ。 最初はなんだっけ……。 受付で上司の取り次ぎをしたんだった。 上司から飲みに誘われて、 行ったら貴方はそこに居たんだ。 言われるまで顔も覚えてなかったのにな。 私のしている事は、世間では批判の対象。 奥さんや、子供の事考えたことある? 最低、信じられない。 辛いから何?なら離れれば? そういう目でしかみられない。 好き、でも、私は泥沼にいるよ。 離れたい、離れたくない、 どうしたらいい? 今日は日曜日、お酒を飲む日と決めている。 だから、持病の薬も今日は飲まない。 日本酒を冷で呑むのが私の好み、 1週間で1度の楽しみでもある。 おつまみはなし。 お供はソファとテレビと猫のミィ。 「なぁ~~ぉ。」 「おいで、ミィ。」 ミィはひとり暮らしの私の、唯一の癒し。 マンションの自転車置き場に、 捨てられていた。 雨の日で、ミィ以外の子は、 冷たくなってしまっていた。 ごめんね……。 ミィだけは何とか助けられて、 今では女王様の様な振る舞い。 普段は寄り付かないのに、 この日だけはそばに来てくれる…。 何か伝わるのかな? 「ミィ、ありがとう。」 目を合わせては来るけど、 答えの分からそうなその瞳と、 グルグルならす喉に私は安心を覚えた。 このまま、全部忘れてずぶずぶに酔いたい。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!