男と女

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「相良さん、何度も言う様だけど お酒は駄目、止めてくださいね。」 私は点滴を打たれながら、 主治医に説教をうけている。 「でも先生その日は、 お薬は飲まなかったの。」 「そういう問題では……、 薬も毎日飲まないと意味が無いよ…。」 度々体調不良を起こして、 色んな検査をしても何も無く 紹介されたのがここ心療内科である。 先生と出会ってから、楽になった。 私は拠り所を探していたのかもしれない。 「飲みすぎるのは気をつけるから。」 「少しだけですよ? 本当にちょっとオチョコ1杯だけね。 それと、薬は飲むように!」 「はい。」 点滴には吐き気止め、ビタミン剤を 入れてもらい、少し目を閉じた。 ここの看護師も気の効くいい方ばかりで、 私が寒くないように、掛け布団の下に 毛布を敷いてくれる。 私は点滴をすると全身が 氷みたくなって行く感覚がして、 針の刺さった部分に痛みが起きる。 凍傷みたいな感覚がするんだ。 たまにそう感じる人が いると先生から言われた。 病院が苦手だと言う人がいるけど、 私は病院にいると安心する。 何かあっても助けてもらえると思うから…。 「相良さん、受付に男性の方がお見えに なってるんですが通しても大丈夫ですか?」 男性?下井くんかな? 「あっはい、大丈夫です。」 看護師さんに連れられ入ってきたのは、 下井くんでは無く、私の愛する人、 椎野健だった。
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