男と女

6/8
17人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
「君はこのことを、隠していたのかい?」 隠していたよ、貴方と関係を持ってから 病院に通い始めたなんて言えますか? 「そんなつもりはないです。」 「もっと早くに知りたかったよ。 君は何も教えてくれてなかったんだね。」 知ってどうするんですか? 貴方は何をしてくれるのですか? 「心配かけて、ごめんなさい。 これからは体調が悪い時は伝えます。」 伝えたい事と、言っている事は、 全く真逆なんだよ。 これが私の愛情表現……。 困らせたくない、嫌われたくない。 終わらせたくない………。 「会計は済ませておいた、帰ろうか。」 「あの、椎野さん……。 お仕事は大丈夫なんですか?」 「君の会社の下井に聞いてね、 本部に連絡して早退させて貰ったよ。」 「ごめんなさい、迷惑を…。」 「構わない、次からはキチンと、 連絡するように。」 はいと返事はしたけれど、 きっと私は連絡はしないだろう。 これが私の罪で罰なのだ。 でも、こうやって早退までして、 来てくれた事を喜ぶ私。 きっと浅はかな人間なんだろうな……。 「車で来てあるから、君の家まで送るよ。」 「ありがとうございます。」 この人が何を考えているのか、 私には全然分からない。 冷たくしたり、優しくしたり、 私をどうしたいのか。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!