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「そんな時、ジャーミアが俺に言ってくれたのです。――傷ついても構わないと思わせる程の男になれ。相手の傷も愛せる程の男になれ――と」
シオンは目を見開いた。
「相手の、傷も…」
揺らぐ薄紫色の瞳に、徐々に強さが宿っていく。
シオンは生唾を飲み込んでムスタファの胸ぐらを離した。
なりたい。そんな強い男に。
貴女の傷も愛す男に、きっとなってみせるから。
「彼女は今、そんな人を待っている」
シオンは振り返ると、足を踏み出して紅玉の宮へと駆け出した。
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