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「目真っ赤に腫らして何言ってんだ。鏡見てねえだろ、不細工になってるぞ」
「まあひどいわ」
ジャーミアは起き上がるとハイドの体を軽く拳で叩いた。ハイドはその拳を腕で防ぐ。
少しばかりじゃれ合うようなやり取りが続いた後、突然ハイドがジャーミアの手を掴んで問うた。
「…何があった?」
それまで笑っていたジャーミアが、口元だけに笑みを残して固まった。
「ハイド…」
やがて、彼女は震えた声で吐き出した。
「…どうしてなのかしら?全部受け入れるって、決めたはずなのに」
ぱた、ぱた、とジャーミアの手に雫が落ちた。
溢れ出すそれを拭うこともせず、ジャーミアは引き攣った笑顔で涙を流し続けた。
「駄目ね、私…」
傷も罪もいつかきっと全て受け入れられる。その希望を支えに自分と戦ってきた。
けれど、イルハムを会った時に悟ってしまった。
――お前も同じなんだな。
その通りだった。どこまで行っても染みついた罪の汚れが落ちることはない。
そんな現実を目の前にすると、今までの過去が重くのしかかって身動きすら出来なかった。
ジャーミアは両手で顔を覆って泣いた。
「…シオンが好きか?」
「嫌、聞かないで」
お願い聞かないで。ジャーミアはそう繰り返した。
「私を見てよ。ハイド」
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