第三章:踏み出す愛

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ジャーミアは顔を上げると寝台に手をつき、ぐっとハイドに身を寄せた。自虐的な作り笑いを張り付ける彼女の姿は痛々しくて、全身がつぎはぎになった人形のようだ。 「どう見える?」 「……」 「あの人は綺麗だと言うわ。こんな女をよ、笑ってしまうでしょ」 ああ、あの人の言う様に綺麗な女だったら。何も知らない頃の私で出会えていたら、どれほど良かっただろう。 今の私はどろどろのぐちゃぐちゃ。 「何も知らないからそんなこと言えるんだわ」 「ジャーミア」 愛してるなんて言わないで。貴方を愛してしまう。 貴方のその無垢な瞳まで穢してしまうから。 「私は奴隷で、人殺しなのに…!女としても終わっているのに…!」 徐々にジャーミアの口調が荒くなり、体が震え出す。 「貴方だって知ってるでしょ!私の体はもう…っ!!」 「ジャーミアっ!」 ジャーミアがその言葉を口にする前にハイドは彼女を力強く抱きしめた。 「やめろ」 「っ…」 耳元で聞こえる低い声と温かい体温に、錯乱しかけていた心が落ち着きを取り戻す。 乱れたジャーミアの呼吸を聞きながらハイドは顔を伏せて呟いた。 「…今のお前は、少し前の俺にそっくりだ」 だから気持ちが痛いくらいにわかる。 「愛されるのが怖いんだ」 その言葉にジャーミアは息を飲んだ。     
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