第三章:踏み出す愛

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「あら卑下しないでよ。貴女は王族の正妃になる為の教育をなされてきた方でしょ。器量も品位も教養も何一つ問題ないってアイシャ様が仰ってたわよ」 この話を受ければシオンとずっと一緒にいられる…? ジャーミアの胸が期待に高まりかけた時、ああ、でもとプリムラは顎に白い指を当てて上を向いた。 「ジャーミアは兄様の侍女だもの、許可を頂かないと来れないわ」 「あ…」 ジャーミアがハイドを伺う様な視線を向けると、ハイドは大きな溜息をついた。 「わざとらしく言いやがって、俺が駄目だなんて言うと思うか?」 「ハイド」 「そんな目で見るな。シオンや愚妹には勿体無いが、若い女をずっと囲っておく趣味はない」 「でしたら決まりですね」 ムスタファはファティマから用意させておいた筆を受け取ると、誓書に自分の名前を署名した。 そして、懐から取り出した小刀で指を切りつけその上に血判を押した。 それを見た時、ジャーミアの目からぼろっと熱いものがこぼれた。 「有難う、ございます…本当に…何もかも」 「やだ、どうして泣くの」 「私、姫様には頂いてばかりで。何かお返しがしたいです」 すすり泣くジャーミアの肩に手を置き、プリムラは馬鹿ねと笑いを浮かべた。 「友達でしょう、お返しなんかいらないわ。それに言ったじゃない、女が自由に生きてもいいって」 「私が姫の友達…」 「え、あれ、違ったかしら?」     
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