終章:君を想う

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シオンは柱を睨みながら痛む額を押さえた。本当に成長していない。 いつまで経っても格好が付かない自分に情けなさが込みあげた。 「ふっ、ふふっあははっ」 その時、隣で堪えきれないといったような笑い声が聞こえた。見ればジャーミアが口元を隠して大笑いしている。 「ジャーミア…」 「シオン様、初めてお話した時と同じ、わ、私、緊張していたのが吹っ飛んでしまいましたわ…っ」 「俺はおかしいか」 「ごめんなさい…っ馬鹿にしているわけではないんです…っ」 ジャーミアは何度も謝りながら笑い続けた。自分の失態を笑われているのだが不思議と嫌な気分はない。 むしろ目尻に涙まで浮かべて笑うジャーミアの姿に愛おしさが湧いた。 「いや…いい。貴女が笑ってくれるなら」 こんなにも笑顔の彼女が見れるのなら、自分は阿呆な男のままで良い。そんなことを思ったのはこれが初めてだ。 ほんの少しだったが確かにシオンの顔に笑みが零れた。 涙を指で拭ったジャーミアはシオンの手をおずおずと引いた。 「中庭には泉がありますから、打ったところを冷やしましょうか」 回廊から中庭へと続く階段を下り、二人は泉の縁石に腰かけた。 水に浸されたジャーミアの手がシオンの額を撫でる。 「先程は何か考え事をしていらしたの?」     
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