ひと冬の告白

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A「あらおはよう。今日は早いのね。いつもはよく遅れてくるみたいだけど」 B「うん、今日はうまく起きられた。そっちはいつも早いんだ」 A「ううん、今日は遅いほうなの」 B「へえ、だからそれあわてて食べてるんだ」 A「ああこれ。そうね。ていうか、毎朝これ作ってるの。家族の分も。だけど今日はちょっと手間取っちゃって。いつもなら家で食べてるんだけど」 B「ふうん。それが原因で今日ぼくら2人が学校まで一緒になれたわけで」 A「ただの偶然でしょ」 B「朝ぶつかった子が転校生で、口にパンを加えてたり、なんてね。」 A「よく聞く話ね。だけど私ら転校生じゃないし。それにぶつかったらケチャップがついて汚れるでしょ」 B「そりゃそうだけど。というか、早く食べたら。すっかり話しして邪魔しちゃって」 A「そうね。モグモグモグ。・・・欲しいの?でもあげないわよ」 B「いやそういうんじゃなくて、もっと、何というか。作ってくれないかな、毎朝、そういうの、たくさん」 A「ええ、何それ」 B「つまりその、ぼくの家に来て、いや、ぼくのほうから君んとこに」 A「ああ、それ、君の手料理が食べたいとか、よく聞く話」 B「え・・・」 A「うん、でもいいわよ、あんた優しいから。今度の日曜日にいっぱい作って、2人でどっか行きましょう」 B「本当?やったあ」 A「そのかわり、毎朝早く起きることね」 B「君がいてくれたら早起きできるよ」 A「ええ?でもそうかもしれないね」
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