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俺じゃ駄目か?
?( ´?` )( ´?` )?
店に帰ると、すぐに心配そうな顔をした小林がヒカルの所へ走って来た。
「お疲れ様。大丈夫だった?」
「はい。……主任……ご心配おかけしました」
精一杯の笑顔を作るヒカル。
ーーー主任に心配かけないようにしないと。
iPadを握りしめているヒカルに、周りを見回してから小林は小さいがハッキリした口調で
「……ちょっと、来て」
と、言いヒカルの腕を掴んで引っ張っていく。
給湯室に入ると、紙のカップにコーヒーを注ぐ小林。
「本当に……大丈夫?」
ヒカルにカップを渡す小林。
「ありがとうございます。本当に大丈夫です」
「何かあったら、必ず俺に言ってくれないか? 必ず小日向さんの力になるから」
「ありがとうございます。主任」
「……心細かったろ? 初めての営業で、あんなくせのある客じゃあ」
小林の温かい言葉に、ヒカルはジンときていた。
「ありがとう……ございま…す」
さっきまで、大乗のせいで随分と気を張っていた。車という密室の中での緊張たるや生半可なものではなかった。
その極限まで張り詰めていた緊張の糸が店に帰ってきて、小林を見たらプツンと切れたみたいな気がしていた。
優しい言葉なんかかけてもらったら、なおのこと涙が出そうなくらいに気が緩んでしまった。
「小日向さん……」
俯いて、カップを持つヒカルの手が震えていた。
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