33人が本棚に入れています
本棚に追加
俺が似合う相手だろ
「小日向さん、外回り一緒に来てくれないかな?」
デスクの横に来た小林。
「はい、わかりました」
いつもは営業事務で店の中にばかりいた。だから、こうやって小林と一緒に外回りに出るなんて事は初めてだった。
営業車に乗ると、小林がハンドルを握りながら笑顔をヒカルにみせた。
「さて、行きますか」
「はい、よろしくお願いします」
「なんだか堅苦しいなぁ?」
走り出した車の中には小林の人柄のせいか、温かくて和やかな雰囲気が生まれていた。
「はあ、でも……なんだか初めての外回りに緊張してしまって……」
「大丈夫だよ。今日から俺がフォローしながら、みっちり小日向さんを一人前の営業に育てるからさ」
「よろしくお願いします。主任」
信号で停まると、にっこりと微笑んでヒカルの顔を見る小林。
「大丈夫だよ。小日向さんは俺のそばにいれば」
ヒカルの頭をポンポンとしてから前方に目を向ける小林。
「俺がいるから、安心して。今日は俺の営業を見てればいいから」
「はい」
ーーー心強いな。そばに主任みたいな人がいると。
運転席に座る小林の優しげな目元を見つめた。
「心強いです。主任に仕事教えてもらえて」
「俺も嬉しいよ。小日向さんがそばにいてくれて」
最初のコメントを投稿しよう!