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後日、担任は公衆トイレで自殺していた事が分かった。自宅に残されていた遺書に、ある生徒のいじめを見てみふりしていたら、その子が卒業後、周りから無視されるようになり、仕事に支障が出てきた。生徒も自分の話を全然聞いてくれず学級崩壊状態だ。もう疲れた、死ぬしかない。こう書き残して公衆トイレで何度も自分の左胸をナイフで刺したらしい。テレビのニュースで何度も繰り返されるこの報道を、俺はボンヤリ見つめていた。呪いの最初の犠牲者は、元担任か…。
俺達はあの後、警察から質問攻めにされて疲れた。特に第一発見者になってしまった俺は、何度も繰り返される質問に心底うんざりした。その日は呪いを解く方法どころではなくなり、警察からそのまま解散になったのだが、その後何故かみんなと連絡がとれなくなった。LINEもメールも送れず、通話も出来ない。それから1年がたち、阿帆と久しぶりに再会した。テレビの画面を通じて…。
テレビには暴力団事務所の映像と、港の映像がさっきから交互に映っている。金銭トラブルに巻き込まれていた阿帆は、大学入学早々、暴力団の息子に目を付けられて金をせびられていた。拒む阿帆に腹を立てた息子は親にチクリ、阿帆はクスリを吸わされ、体に重しを付けられて海に捨てられ、水死体となって発見された。組長は息子ラブでしてねぇ…と、顔にモザイクをかけられた元暴力団員がインタビューに答えている。
担任も、阿帆も死んだ。早く呪いを解かないと次は俺かもしれない。
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