黒い花

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黒い花

俺達が高校時代にからかっていた女は、魔木(まぎ)といった。そいつはいつも冬服を着ていて、頭に黒バラの飾りが付いたバレッタを付けていた。真っ黒なロングヘアと黒いセーラー服のせいで、そいつだけいつも黒かった。寒がりなのと言っていたが、真夏は見ているだけで暑苦しかった。お前、周りにも配慮してくれと言ったが、そいつは返事もしなかった。だから、からかった。俺はそいつに糞!と言うようになった。時々殴った。その度にそいつの友達が飛んできて、魔木ちゃんをいじめるな!と叫んだ。おれはその度にこいつも殴った。気が強いが所詮女子。言い返して殴り返そうとしてる拳なんて軽々かわせるわ。 そのうち、俺以外の奴もそいつをからかう様になった。そいつは特に不潔でもなかったが、くせーんだよお前!と怒声を投げつける奴、周りを不快にさせてる迷惑料出せよと金をせびる奴、夏の体育でプールの後、突然戸が半分開いて、男子ーおかずあげるー!と魔木の物らしい下着が飛び込んできた事もあった。何だ、魔木を疎ましく思ってるの俺だけじゃないじゃん。止めなよとクラスの奴等に咎められた事も何回もあるが、俺らは止めなかった。奇行を止めないあいつが悪い。通っていた学校はクラス替えがなかった為、俺らは3年間そいつをからかい続けた。
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