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「アルビレオ…アル、というのはどうだ?」
「アル…?」
「二重星の名前。美しい君の瞳と同じ、金色と水色の綺麗な色をした。」
少年は目を見開く。
形を褒められることはあっても、いつでも少年のばらばらの目の色は、汚いと形容される対象でしかなかった。
だから素直に、瞳の色を褒められたことが嬉しくて。
「…どうとでも、呼んでください。」
可愛げがないのは、いつものことだった。演技でもしない限り、少年は感情表現に乏しい。
しかし、その頬が赤くなっているのに気づいたアランは満足げに、
「アル、今日からよろしく。」
とにこやかに微笑んだ。その瞳の奥、やはり何かの陰りを残しながら。
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