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アルビレオ、というのはアルの名前の由来だという二重星で、肉眼で見ると一つの星だが、望遠鏡で観ると綺麗に金色と水色に分かれて見えるらしい。
「え、どこに?」
空を見上げるが、星空についての知識などほとんどないから全て同じ光景に見えてしまう。
「ほら、あれがデネブで、あの十字の形の先に… 」
アランの指を懸命に追って、やっと、十字の形を見つけ出した。その先、白鳥の頭に模されている場所に、その星は存在する。
「うーん……あ、見つけた。あれ?」
「そう。」
温暖な時期でも晴天の夜は少なからず冷える。身震いしたアルに、アランはそっと白衣を被せてくれた。そのまま背中から抱きしめられる。
「ねえ、初めて話したときのこと、覚えてる?」
「ああ、鮮明に。自分の首を締めようとするから、本当に焦った。」
低く美しい声が耳元で響いて、ぞくりとする。こんなに美しい人が自分と番ってくれたなど、本当は今でも信じられない。
「あの時アランのこと、絶対に神か何かだと思った。俺死んだんだなって。」
「…勘違いが過ぎるな。」
「いや、今もだけど、アランの容姿は人並みはずれてるから、もっとこう… 」
話題がそれて無意識に惚気てしまったアルを、アランは微笑ましげに見つめた。
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