番外編お礼ss①「誓いのピアス」

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番外編お礼ss①「誓いのピアス」

※一人称アル視点で綴ります。2人が同棲を始めてから半年くらいのお話です。 デネボラは巨大な施設だ。 どうなっているのかは俺たちにも把握しきれないが、施設内に市場の様なフロアがあり、日用品や食料品、衣類などある程度のものはそこで揃う。 その一方で、揃わないものもある。 「んー、選べない。それに0ふたつ多くない?これ…。」 100万を下回るものはなく、ものによっては1000万を超える。 アランに提示された0だらけの画面を前に、俺は頭を抱えた。 「そんなことはない。 …これなんかはどうだ?きっと似合う。」 パソコンの画面に向かい座る俺背後から、すっと伸びた白く美しい指がある一点を示した。 彼の指差す先にあるのは、プラチナ製、と書かれた時計。 盤が紺桔梗のグラデーションになっており、その上に散らばる金の文字が夜空に浮かぶ星を思わせる。 でも… 「んー、綺麗だけど、時計は持ってるし… って、1200万!?どこから出すの?」 「どこ、というのは銀行から、という答えでいいのか、それとも何かユーモアを求めているのか…?」 背後を向いて指摘すると、綺麗な顔がきょとんと首をかしげた。 そのわずかにあどけなさを帯びた美しい表情に、思わず釘づけになってしまいそう。 大きく開いた青い瞳は、本当になにを言っているのかわからない、というような不思議そうな色を浮かべていた。
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