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目を開けるとそこは、娼館のものとは違う、柔らかなベッドの上だった。
自分は死んだはずではないのかと、少年はそこはかとなくだるい身体を無理に起こし、辺りを見回す。
薪のストーブの上にティーポットが置かれ、カンカンに沸いている。それ以外何もない、温かな木の囲まれた簡素な空間。
その中に甘く心地の良い、しかし仄かに媚薬のような、花の香りが混じっている。
こんこん、と部屋の入り口がノックされると、その香が強くなる。
「起きたか。」
ドアが開くとともに、低く美しい声がすっと耳に入ってきた。少年はドアに目線を移す。
「あなたは…?」
そして入ってきた人の姿に、少年は理解したのだった。ここはやはり死後の世界なのだろうと。
なぜならその男性の形貌がこの世のものとは思えないほど美しかったから。
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