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束の間の幸せ③
風に混じって甘やかな花の香りが鼻をかすめる。甘く、官能的で、淫靡な香り…。
「アル、ただいま。」
ああ、そして優しい低い声が近づいてきて…
その声で目を覚ました時、アルは一瞬自分の身体の変化に理解が追いつかなかった。
Ω特有の小さな肉欲は痛いほどにそそり勃ち、秘孔からは洪水のように液が溢れて下着を濡らしている。
身体は極刑でウイルスを注射された後と同じほどに熱く、どくどくと脈打つ心臓は飛び出してしまいそうで。
そして、絶対に近寄ってはならないとなけなしの理性が警報を鳴らす中、本能の求めるままに、足はそこはかとなく甘やかな香りの方へと引き寄せられていく。
「アル!?」
ドアから入ってきたアランの広く厚みのある胸板に、反射的に顔をすり寄せる。胸いっぱいにその香を吸い込めば、脳がとろけるような感覚に襲われた。
…熱い…。
…欲しい。彼が欲しい。
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