第2章

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僕は右手の指輪を左手に付け替えて母親を尾行する事にした。 黒だと分かっていたが、心のどこかで白だと思いたい気持ちがあった。 母親はアパートから最寄りの電車で隣町に移動した。 時刻は12時を回っていた事もあって、お昼時の人たちで混み合っていた。 中には学校をサボって遊んでいる高校生たちもいた。 楽しそうに振る舞う高校生に僕は少し嫌悪感を抱きながら母親を尾行した。 すると背後から『お姉さん1人?』と声をかけられた。 振り返ると先ほどの高校生だった。 僕が無視をすると強引に腕を取られた。 『待ってよ。めっちゃ可愛いね。遊ぼうや!』 『無理。』 『そんなこと言わないで遊ぼうや!』 ヘラヘラと言い寄ってくる高校生に僕は怒りを露わにした。 『しつけーんだよ。部屋に戻って1人でセンズリでもやってろよ!』 僕の、いや私の言葉に高校生たちはドン引きしたのか何も言わず去っていった。 そうこうしていると母親が駅前の喫茶店に入っていった。 私も後を追うように喫茶店に入った。
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