12人が本棚に入れています
本棚に追加
『カフェラテ1つ。』
いつもはコーヒーを飲むのだが、こっちの時はなぜか甘い物が欲しくなる。
性格まで変わるのかと思った。
私は母親の死角になるように真裏の席に着いた。
テーブルは磨りガラスで囲われていて、ハッキリと顔までは確認出来そうになかったが、ある意味、安心して尾行が出来た。
テーブルにカフェラテが運ばれてきた頃、母親の席に人の気配がした。
『待った?』
少しドスの聞いた40代くらいの声が聞こえてきた。
『ううん。今来たところ。』
今まで聞いた事がないような甘ったるい声で母親が答えた。
私はカフェラテを吐き出しそうになった。
『なんとかなりそう?』
男が母親に親密そうに言った。
なぜかそのドスの聞いた低音ボイスに心地よさを感じてしまった。
母親も同じなのだろうかと思った。
『なんとかなると思う。息子も仕事してるし!』
ん?私?
なんの話だ?
『とりあえず今月は10万あればなんとかなるから!』
『分かった。なんとかするね。』
『助かるよ。』
『この後は時間あるの?』
『ああ、ホテル行くくらいの時間はあるよ。』
『もう。』
最初のコメントを投稿しよう!