第1章。

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その日、僕は夢を見た。 家族団欒で幸せそうな雰囲気なのを覚えていた。 見ているのが恥ずかしいほどラブラブな両親。 食卓には豪華な晩ごはん。 『翔太!言った通り贅沢出来ただろ。』 父親の自慢げな表情まで鮮明にイメージ出来ていた。 僕の中に、あんな家族の憧れがあったのだろうかと物思いにふけっていると救急隊員の人に声をかけられた。 『息子さん、これからお母さんを市民病院に救急搬送します。荷物をまとめて一緒に来てください。』 意識の無い母親が担架に乗せられ救急車へと運ばれた。 僕が荷物をまとめていると母親のベッドから睡眠薬の空ビンが転がった。 救急車の中で救急隊員が母親に必死で声をかける。 『お母さん聞こえますか?お母さん!!』 僕はその様子を冷静に眺めていた。 不思議と悲しいとか怖いという感情がないことに自分でも驚いた。 救急隊員はそんな僕を必死に励ましてくれた。 『大丈夫!絶対助けるから!気を確かにもって!』 僕は自ら死を選んだ者を助ける必要があるのかなと思った。 救急車から外を眺めると、いつも通りの風景が広がっていた。 いつも通り空は青く、街は忙しそうな人たちでごった返していた。
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