第1章。

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2日後、母親は意識を取り戻した。 『翔太、ごめんね。』 僕の目から自然と涙が流れた。 それが安堵感なのか何かは分からなかった。 それでも涙が出たことに感謝した。 まだ僕は壊れていないと思えた。 その後、院長先生から容体の説明を聞いた。 睡眠薬での自殺は成功率が低い事を初めて知った。 その時が来たら睡眠薬の自殺は選択しないでおこうと思った。 そして現実の話に戻された。 知っての通り入院費など持っているわけもなく、帰る家も無い。 だからといって慈善事業ではない病院にいつまでも居れるはずもなく、退院を余儀なくされた。 僕は母親の容体を気遣って町の漫画喫茶に行こうと言った。 前にテレビで漫画喫茶難民のニュースを見たことがあった。 あんな所で良く暮らせるなと思っていたが、来てみると凄く居心地が良かった。 充分に横になれるスペースに、飲み物が飲み放題、時間帯によってはオニギリやパンまで食べれる。 これはアリだと思った。 母親も寂しさに慣れて来たのか『頑張ればなんとかなるよね』と言い出した。
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