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『えっと、こんばんわ、、、』
僕は恐る恐る挨拶を返した。
老人は何も言わず僕に近づいて来た。
スーッと歩み寄るソレはやはり人間のものではないと思った。
『坊や、、、君にコレをあげよう。』
老人は懐からケースを取り出した。
それは上下に開く小さな箱だった。
まるで指輪のケースのようだった。
『そうじゃよ。指輪じゃよ。』
『え?』
『ふぇっふぇっふぇ。世の中、目に見えるものが全てじゃないんだよ。』
僕は怖がりながら質問をぶつけた。
『その指輪は何?怖いよ。』
『坊やの役に立つ物じゃよ。』
『つけたらどうなるの?』
『右手と左手で使い分けるんじゃよ。』
『右手と左手?』
『そうじゃ。坊やはお金が必要なんじゃろ。』
『必要だけど、、、指輪をつけるとお金がもらえるの?』
『ふぇっふぇっふぇ。それは坊や次第じゃ。幸運を祈るぞい。』
そう言うと老人はふわっと浮き上がり空へと消えて行った。
『なんだよこの夢、、、怖いなー、、、』
気がつくと僕はブースで横になっていた。
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