12人が本棚に入れています
本棚に追加
『あー寝汗がびっしょり、、、』
僕は目の前のコップに手を伸ばした。
ゴクリと音を鳴らして水が胃袋を満たしてくれた。
ふとパソコンのモニターに目を向けた。
真っ黒の画面が鏡のように僕を映し出す。
そしてコップを持つ手に光るものを見つけた。
ゴホっゴホっ
僕は慌てて水を吹き出した。
『もぉー汚いわねー。何やってんのよ。』
眠そうに目をこすりながら母親が目を覚ました。
『ごめん。ちょっとトイレ行ってくる。』
僕は駆け足で男子トイレに駆け込んだ。
鍵をかけトイレに座り込む。
『これって、、、嘘だろ、、、』
僕の右手にはしっかりと昨夜の指輪が嵌められていた。
『夢じゃなかった、、の、、、?』
僕は昨夜の老人の言葉を思い出した。
『右手と左手で使い分けるんじゃよ。』
僕は恐る恐る右手の指輪を外し、左手に付け替えた。
左手に嵌めた途端、急激な目眩に襲われた。
目の前がグルグルと回り始めた。
『クソ、、、なんだこれ、、、』
数秒すると目眩が収まり何事もなかったように落ち着いた。
『訳わかんねー。』
僕はついでにトイレで用を足し、外に出ようとした。
その時だった。
ガコンッ
思い切り壁に頭をぶつけてしまった。
『いってー。なんでドアが開かねーんだよ。』
そして僕は目の前の風景に唖然とした。
扉が反対側についていたのだ。
最初のコメントを投稿しよう!