ばあちゃん

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今日はホワイトデー。 バレンタインデーにチョコをもらった人にお返しをする日。 僕だってチョコぐらいもらったさ。 うちのばあちゃんからだけだけど。。。 高3の春、いいのかこれで。。。? ばあちゃんにはお返しするんだ。 ばあちゃんの好きなイチゴのショートケーキ。 僕はケーキを自転車のかごに乗せて堤防の上を走っていた。 「危な~い!」 そう聞こえて振り返ると何かがこちらに飛んでくるのが見えた。 その何かは見る見る近づいてきた。 「うわっ」 僕は思わず仰け反り自転車から落ちた。 「いてててて。」 それは野球のボールだった。 「ごめんなさ~い。」 中学生くらいの男の子がボールを拾いにきた。 「気をつけてね。でも、ここまで飛ばすとはすごいな。」 と言ってボールを渡した。 自転車を見るとケーキの箱が転がっていた。 「あ~ぁ。ケーキが。。。」 「ばあちゃん、ただいま~」 「ばあちゃん寝てるの?」 返事がない・・・ 「ばあちゃん。」 ばあちゃんは台所の椅子に座っていた。 「ばあちゃん!」 目を閉じて少し上を向いている。 血管の浮き出たしわしわの手が力なくダラリと垂れ下がっていた。 「ばあ~ちゃん!」 動かない。。。
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