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思い出すと、きゅっと胸を締め付けられるような痛みを感じた。目頭が熱くなり、僕は誤魔化すように俯く。そうだ、僕はこんなにもミイのことが大事だったんだ。
ふと視線を感じて顔を上げると、おたまと目が合う。
「アンタはミイちゃんのことがほんとに好きだったんだね」
「掛け替えのない存在だったと思う。側にいるのが当たり前でいなくなるなんてことが考えられなかったかな。子どもだったし、別れる日が来るとか、別れの辛さとか、そんなこと微塵も想像しなかった」
頬に妙な感触があり、ハッとする。僕はいつの間にか泣いていた。泣くつもりなんてなかったのに、おたまの姿がミイと重なってどうしようもなく切なくなってしまったのだ。
「あはは、何泣いてるんだ僕は。ごめん、びっくりしたよね。実はおたまちゃんはミイちゃんとそっくりなんだ。その背中の模様が同じなんだ。もしかしておたまちゃんとミイちゃんは同一ネコなんじゃないかって、そんなわけ…でもおたまちゃんは猫又だから、もしかしてって。でも、そんなわけ…」
僕はそそくさと涙を拭う。気恥ずかしくなり、ゴシゴシと袖で目をこすった。
「そんなワケない、と言い切れるかね?」
「え?」
おたまは
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