ネコの…

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と、僕は嬉しくなった。 張り切って入学式に出かけた。そして張り切って帰ってきた。ミイに話したいことがたくさんあったから。 けれど、ミイはどこにもいなかった。その時間には大抵いる場所に彼女の姿はなかった。散歩にでも出かけたかな?そう思って、帰りを待った。けれども、いつまで経っても帰ってこなかった。 もしかして迷子になってるのかな? けれども、ミイはあちこち出歩くようなことはなかった。大抵、陽当たりのいい窓辺でのんびりと寝そべっていた。もしかしてら、ミイにだって友だちがいて一緒に遊んでいるのかも知れない。きっとそうだ。遊びに夢中で帰るのが遅くなってるんだ。きっとそうだ。 無理やりに色んなこじつけをしてみるけれど、どれも納得できなかった。きっとそうなんだと思い込むことで、ミイのいない日々をやり過ごそうとした。 けれど、ひと月ふた月と過ぎるうちに、僕の強がりも続かなくなった。ただただ彼女の不在が寂しくて悲しくて、遣る瀬なかった。こんなふうに別れが来るとは、微塵も想像していなかった。 僕は泣いた。止め処なく涙が流れる。ぽたぽたと頬を伝った雫が床に落ちる。 どこに行ってしまったんだろう。迷子になっているんだろうか。まさか事故に巻き込まれたりしてないだろうか。僕の声はもう届かないんだろうか…
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