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「って、コタ坊!?」
「なんだい、アンタの方がいいのかい?そんなの他人行儀じゃないか」
「いや、そうじゃなくて、僕はもう坊って歳でも…」
「あたしからしたらいつまでも坊さ。親にとって子どもはいつまでも子どもだろ?そんな感じだよ」
そんな感じですか。
何を言っても母には敵わない気がするように、おたまに何を言っても敵わなそうだ。その点で僕らは母子に似た関係なのかも知れない。
「さて。これで一応、恩は返せたかね」
「左様でございますね」
2匹は満足そうに頷いている。
恩返しと言うには妙な流れだけれど、そういうことにしておこう。きっと僕が何を言ってもこの2匹は納得しないだろうから。
「あのさ、おたまちゃんやハレはいつもここにいるの?」
「ああ、たいていはね。ここはあたしの家だから」
おたまはふと、遠くを見るような目をする。
「ここはあたしがネコだった頃に生まれ育った家なんだよ。人間で言うところの生家ってやつかい」
生家。僕の生家にはおたま、いや、ミイとの思い出が詰まっている。ここにはおたまがネコだった頃、一緒に暮らしていた人との思い出が詰まっているんだ…
「あたしたちに会いたいと思ってくれるなら、いつだって会えるさ」
「うん、会いに来るよ」
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