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「ではかかさま、しっかりとお仕えして参ります」
ハレはおたまに向かってぺこりとお辞儀する。いちいちかわいらしい。どうしたって萌えてしまう。傍目に見たら変な野郎かも知れない。
「さぁ、行きましょう、ヤマネコさま」
「そのヤマネコさまって、どうにかならないかな。コタでいいよ」
「いえいえ、とんでもないことでございます!呼び捨てだなんて」
「さまだなんて、柄じゃないっていうか、落ち着かないよ」
「けれどもワタクシもお仕えするご主人に向かって呼び捨ては出来かねます」
「うーん」
「では、コタさまはいかがでしょう?」
「さま付けは絶対なんだね」
「絶対でございます」
こうなったら折れないのがハレだと言うことを僕は学んでいる。コタさまか。何だかこそばゆいけれど、それで折れよう。
「じゃあ、コタさまで」
「かしこまりました」
そう言ってにっこりするハレに、またも萌えてしまう僕だった。
かくして、僕はハレを連れて暖簾をくぐり、僕のアパートに帰った。そしてひとりと1匹の奇妙な生活が始まったのだった…
「ネコの」了
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