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「よかった、無事だったんだな。あの後すぐに姿が見えなくなったから気になってたんだ。元気そうでよかったぁ」
「はい、おかげさまでこれこの通り!」
ハレは再びぺこりとかわいらしくお辞儀する。
ネコのお辞儀とは。なんとかわいいことだろう。無類のネコ好きにはたまらない。けれどこんな奇怪な姿を見たものは、僕以外にもいるのだろうか。
「あの後、結界からこの家に飛びまして。急にいなくなったのでヤマネコさまはさぞ驚かれたことと案じておりました」
「逃げたんだろうとは思ってたけど、やっぱりどうなったか気にはなってたかな」
「お気にかけてくださり、至極光栄に存じます」
ハレは深々とお辞儀する。これはもう彼の癖のようなものなのかも知れない。えらく板に付いたお辞儀なのだ。
ふと、鋭い視線を感じて目を移すと、おたまがこちらを睨んでいる。
「え、あの、僕は何かまずいことをしたんだろうか…」
狼狽える僕に、おたまは呆れたようなため息をつく。
「アンタ、ほんとにネコが好きなんだね。ハレを見る目がいかがわしい」
「い、いかがわしい!?」
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