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おたまの言葉にハレが不審な目つきで僕を見る。
「まさか、ヤマネコさまはそんなご趣味が…」
「どんなご趣味だよ!」と、僕は全力で突っ込み、彼らの妄想を否定する。
「無類のネコ好きは認めるけど、君らが思うようなご趣味とやらはないからね」
ハレはホッと胸をなでおろす。ネコが人の仕草をするのは妙だけれどかわいらしい。尋常ではないこの状況を、ハレのかわいさで受け入れてしまう僕だった。
「さっきから脱線して肝心の答えをもらえないんだけど」
「なんの話だったか」
「だから、どうして僕のあだ名を知っているのかって」
「それはですね」と、返答をしたのはハレだった。
「ワタクシどもネコというのは大変義理堅く、礼儀を重んじております。ですから、命の恩人たるお方にきちんと御礼申し上げねばネコの恥。そんなワケですから、失礼ながらヤマネコさまのことをお調べいたしました次第です」
ネコの情報収集能力、恐るべし。僕なんていうありふれた一般人の個人を調べ上げるとは。驚いたことに、彼らの調べは正確で、そんなことまでどうやって調べたのだろうという瑣末なことまで調べ上げていた。そして、余計なことまで。
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