第1話~囚われの少女~

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「真白ー?入るわよー?」 「っ!ど、どうぞ!」 扉をノックする音でハッとなる少女。いつの間にか本を読むことに没頭していたようだ。 カラカラと扉を開け、お盆に乗せられたおにぎりと本を持った少女が部屋に入ってくる。 少女はお盆をちゃぶ台に置き、真白と呼んだ少女の持つ本に目をやる。 「また国づくりの神話読んでたの?もう夕方よ?」 「えへへ、悲しいお話だけど…なんか、読みたくなっちゃって。」 「そう…あ、そうだ!新しい本持ってきたわよ!もふもふ動物図鑑!」 「わあああ!!ありがとう、麻衣!!」 2人の少女は一緒に和気あいあいと本を読み始める。 部屋にいた真っ黒な目と長い髪を持つ少女の名は真白。歳は今年で13。しかし、歳の割に小さな身体と幼い顔つきをしている。 真白と共に本を読んでいる少女の名は麻衣。歳は真白より2つ上の15歳。肩の辺りで切りそろえた鳶色の髪に赤褐色の瞳。大人っぽい雰囲気だが勝気な顔をしていて、子供らしい活発さが見てとれる。 しかし真白が幼くみえるせいか、2人はかなり歳の離れた姉妹のようだ。
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