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「あ、ねえ!これ可愛い!きつねってやつ!もっふもふ~。」
「きつねかわいいわよね! あぁそういえば最近近所に白いきつねが出るとか出ないとか……」
「えー!遊びにきてくれないかなー!」
「見つけたらまた教えるわよ、ほら、ご飯も食べないと。」
「はーい…むぐむぐ…」
こうしていると仲の良い姉妹にしか見えないが…2人の関係はそんな優しいものではない。
「麻衣様…当主様がお呼びです。」
扉が控えめにノックされ、使用人の申し訳なさそうな声が外からきこえる。
麻衣は心底嫌そうな顔をして大きくため息をつく。
真白との時間を邪魔した罪は重いぞ弓の的にしてやろうか…と何やらブツブツ呟いているが…真白が麻衣?とこえをかけると殺気が消える麻衣。
「せっかくの自由時間になんなのよもう…真白、ごめん、あたし行かなきゃ。」
「大丈夫だよ!ありがとう、頑張ってね。」
ニコリと笑う真白。声が少し震えていた。
そんな真白を見て悔しそうに唇を噛む麻衣。
「…っ…また、くるから!」
精一杯笑顔を作って麻衣も応える。お盆を抱えパタパタと部屋から出ていく。
その後扉の方からカチリという音。
1人取り残された真白はふと扉に手を伸ばすが…
「っ!」
パン!!と大きな音と共に見えない壁にその手は弾かれる。
もう何度も見たし体験したはずの事象だった。
だが、やはり真白の心には堪えたようだ。
「いか…ないで…」
1人ポロポロと涙を流す真白。
そんな泣き声を麻衣は外からきいていた。
「…ごめんね…!」
2人の想いは交わることは無い。
扉には鍵と結界、小さな窓には格子。
そんな部屋にいる真白と、麻衣は姉妹や友人などではなく『囚われる者と捕らえる者』なのだから…
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