第1話~囚われの少女~

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「あ、ねえ!これ可愛い!きつねってやつ!もっふもふ~。」 「きつねかわいいわよね! あぁそういえば最近近所に白いきつねが出るとか出ないとか……」 「えー!遊びにきてくれないかなー!」 「見つけたらまた教えるわよ、ほら、ご飯も食べないと。」 「はーい…むぐむぐ…」 こうしていると仲の良い姉妹にしか見えないが…2人の関係はそんな優しいものではない。 「麻衣様…当主様がお呼びです。」 扉が控えめにノックされ、使用人の申し訳なさそうな声が外からきこえる。 麻衣は心底嫌そうな顔をして大きくため息をつく。 真白との時間を邪魔した罪は重いぞ弓の的にしてやろうか…と何やらブツブツ呟いているが…真白が麻衣?とこえをかけると殺気が消える麻衣。 「せっかくの自由時間になんなのよもう…真白、ごめん、あたし行かなきゃ。」 「大丈夫だよ!ありがとう、頑張ってね。」 ニコリと笑う真白。声が少し震えていた。 そんな真白を見て悔しそうに唇を噛む麻衣。 「…っ…また、くるから!」 精一杯笑顔を作って麻衣も応える。お盆を抱えパタパタと部屋から出ていく。 その後扉の方からカチリという音。 1人取り残された真白はふと扉に手を伸ばすが… 「っ!」 パン!!と大きな音と共に見えない壁にその手は弾かれる。 もう何度も見たし体験したはずの事象だった。 だが、やはり真白の心には堪えたようだ。 「いか…ないで…」 1人ポロポロと涙を流す真白。 そんな泣き声を麻衣は外からきいていた。 「…ごめんね…!」 2人の想いは交わることは無い。 扉には鍵と結界、小さな窓には格子。 そんな部屋にいる真白と、麻衣は姉妹や友人などではなく『囚われる者と捕らえる者』なのだから…
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